2026年5月21日、新潟県立巻高等学校にて理系を志望する1年生を対象とした職業説明会が開催され、当社担当者が講師として登壇いたしました。この説明会は、生徒の親御さんや地域の方々にも馴染みのある公共建築や、ものづくりの現場に触れてもらう社会見学の一環として行われたものです。
当日は、施工を担当されている株式会社水倉組様の現場事務所をお借りし、2社によるリレー形式での説明会となりました。
私たちがこの説明会に招かれた理由は、同校の地元で進められている巻斎場の建替計画において、当社が基本設計・実施設計・監理まで一貫して担当しているからです。本計画は、新潟市の厳しいプロポーザルを経て、当社の提案を選定いただいた大切な事業でもあります。
今回は、次代を担う高校生たちへ向けてお話しした内容と、担当者が改めて実感した建築設計のやりがいについてお届けします。
1. 建築における施主・設計・施工の三位一体の関係性

まず当社からは、一つの建物が完成するまでに不可欠な関係各所の役割と連携について解説しました。
・施主:市民の皆さまの要望をまとめ、事業計画を策定する。
・設計事務所:その要望を具体的な図面に起こし、法規やコストをクリアする。
・施工者:確実な施工技術によって、図面を現実の形にする。
この3者がそれぞれの専門性を発揮し、強い信頼関係のもとで協力し合って初めて、地域の人々に永く愛される建築が生まれます。これこそが建築の本質であるということを、生徒の皆さんにお伝えしました。
当日は施工の水倉組様と並んで解説を行いましたが、当社の設計思想を、信頼できる施工者様とフラットに議論しながら形にしていく風通しの良さは、日頃の業務環境の根底にも流れている強みです。
2. 最先端ツール「BIM」の活用と、巻斎場に込めた設計思想

生徒の皆さんが特に興味を示していたのが、設計ツールの進化の歴史です。かつて主流だった手書きの「ドラフター」から「2次元CAD」へ、そして現在はコンピュータ上に実物同様のデジタルモデルを構築する「BIM(3次元CAD)」へと移行している背景を説明しました。
説明会では、実際に当社が設計した巻斎場のBIMデータをスクリーンに投影し、具体的な設計のポイントを解説しました。
開設から50年以上が経過し、老朽化が進んでいた巻斎場を現敷地内で全面建て替えする本計画。人生の最期を迎える厳かな空間だからこそ、利用者のプライバシーを最優先に考えた告別室・待合室の個別化や動線計画、そして誰もが安心して利用できるバリアフリー化など、設計に込めた意図を一つひとつ紐解きました。身近な場所で、こうした技術的裏付けを持った公共建築が作られていることを知ってもらう良い機会となりました。
なお、後半の時間には水倉組の若手社員の皆さまから、建設業の具体的な業務内容や、工事の進捗管理に活用されているドローンなどの最新技術が紹介され、生徒の皆さんも興味津々で見入っていました。
3. 高校生からの鋭い質問:建物の「寿命」にどう向き合うか
質疑応答の時間には、理系を志望する生徒の皆さんらしい、本質に迫る質問が寄せられました。
「建物が劣化していくことに対して、設計段階ではどのように考慮して進めるのですか?」
建築物は建てて終わりではなく、何十年もの間、地域に存在し続けるものです。当社からは、目に見える外壁防水の劣化対策はもちろん、現行法規上の耐震性の担保、さらには将来的な利用状況の変化に伴う改修の想定など、建物が永く安全に使われるための配慮をあらかじめ設計に盛り込んでいることをお答えしました。
ただ綺麗な図面を描くだけでなく、数十年先にある建物の生涯まで見据えて設計する。こうした深い設計思想への取り組みを高校生へ説明する中で、当社がプロポーザルで高い評価をいただいた理由を、担当者自身も再認識する機会となりました。
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